保険営業者のためのマーケティング&コンサルティング、ヒント集
 
 
 
 
 
 
 
 
 

保険営業者のための小さなヒント集

株式会社エフ・ビー・サイブ研究所
             
【Vol.052】保険に対する“顧客の意識”を抜本的に変える道筋
             

  保険、特に高額保険や生命保険を“売る”ためには、『とにもかくにも“顧客(保険ユーザー)の意識”を変えなければならない』と言いたくなる状況が増えて来ました。
  “不測の時への備え”や“いずれやって来る将来”に対する“意識”が低いユーザーには、そもそも“保険の話”が届きにくいと言わざるを得ませんし、その“保険”に高額な資金を投じるなど、考えられないことだからです。
  しかし『顧客の意識が変わらないとなあ…』と、ただ手をこまねいていても、新しい“見込先”が増えるわけではありません。今、顧客の意識変化を期待するより、積極的に“顧客の意識を変える”努力が求められているのです。

             
   
    【01】 そもそも“意識”は変わり得るものなのか?
   
        かつては犬が大嫌いだった人でも、たとえば雪山で遭難しそうになった時、救助犬に助けられるような“体験”をすれば、すっかり犬好きになり得ます。そんな大きな“事件”ではなくても、かわいい子犬のしぐさを見て、“犬を見直す”かも知れません。
  対象に対する“意識”や“認識”は、その人がそれまで“どんな体験をしたか”によるでしょう。しかし、“犬”のように“見え”て“触れ”る対象ではなく、“保険”のように、見ることも触ることもできない対象は、“体験”ではなく、その人の“理解度”によって、“意識”や“認識”は、大きく違って来るのです。
  それは、本当に“当たり前”のことなのですが、では、どのようにして、保険に対する“理解度”を深めさせるかという“問い”に至ると、検討もつかない世界に追いやられてしまうことが少なくないのです。
       
   
    【02】 実は“意識”は接する人によって変わる!
   
        しかし、一つ“思い起こす”べきことがあります。私たちは、いつの間にか“今までは考えもしなかった”世界におもむき、想像だにしなかった“経験”に身を任せることがあります。それは、どんな時でしょうか。もちろん“様々”ではあるでしょうが、最も典型的なのは、好きな人や信頼する人に“誘われた”時ではないでしょうか。
  もちろん、権力者に強制されたり、恩人への義理があったりして“行動”する時もありますが、そんな時は、必ずしも経験に“身を任せる”までには行きませんので、体験の“質”、ひいては理解の“レベル”が違うはずなのです。
  ただ、こう言ってよければ、保険営業者という“役割”が、ユーザーから“好かれる”状況は、なかなか思い描けません。
       
   
    【03】 ただし“脅し”や“恩着せ”は、もう通じない!
   
        そのため『将来、困るよ!』とか、『税金負担が大変だ』とか、『皆契約しているのに、あなたは乗り遅れている』とか、“権力者”のように“脅かす”営業手法が、目立っていたのかも知れません。かつて『このまま放置していたら、とんでもないことになりますよ』という言葉を、できるだけ“どぎつく”したら、営業トークになるなどとさえ言われたものです。
  あるいは、『ほら、別件で私はあなたに保険金を支払ったではないか』とか、『誰も知らないお得情報を、あなただけに教えたではないか』などと、“恩”を売る活動も、 盛んでなかったとは言えないでしょう。時には、ネクタイや財布などの“プレゼント”や食事で“恩を売る”ケースもありました。
  ただ問題は、申し上げるまでもなく、今や“脅し”ても“恩を着せ”ても、ユーザーは“契約に動く”どころか、“保険の話”に耳を貸さなくなってしまったのです。
       
   
    【04】 閉鎖的になってしまった現代人の“心”
   
        その理由も様々ですが、最大のものは恐らく、“情報過多のストレス”で、私たちが“傾向”として、“自分の世界”に閉じこもりがちになっているからでしょう。“脅される”と確かに怖いですが、それを解消するには、“恐怖の素を絶つ”よりも、『ああ、脅し文句を聞かなければいいんだ』という気分に、社会全体がなっているということです。
  しかしそれでも私達には、そんな“閉鎖的な世界”から、一歩踏み出す時、踏み出してしまう時があります。それは、一口に言うなら『あれ、何だろう?』『うん、どういうことだろう?』という“驚き”を持つ時です。ただ、台風のような轟音がする時は、閉じこもりますが、その音が“小さな鈴の音”のようなものなら、ふと、外を見てしまうのが、私たちの傾向だということです。
       
   
    【05】 身近なところから“知的本能”を刺激せよ!
   
        それは、常に“新しい知識を得たい”、“もっと賢くなりたい”という、私たちの“本能”がなせる業で、人類の一員たる私達には、本能的に“あらがえない”ことでもあるのです。もちろん、すっかり枯れて意欲を失った人は別ですが、普通の状態なら、“小さな驚き”で、私たちの“心”は外に向かい始めるケースが多いということです。
  しかも、知的欲求本能は、食欲や性欲と並ぶほど大きいため、こんな言い方はしない方がよいのかも知れませんが、“驚き”が人の心を揺さぶる力は、決して小さくないのです。
  そうだとするなら、一つ“道”が開けような気がして来るのではないでしょうか。
     
   
    【06】 営業上の“関係形成”の本来のあり方は?
   
        保険の話に限らず、むしろ“保険の話”ではなく、ユーザーの“タメ”になる話で、“小さな驚き”を提供できたら、ユーザーの“心”を始動させることができるかも知れないからです。保険の話では動かない人も、“自分に関係する話”で『ああ、確かにそうかもね』と思える話があれば、様子が変わり得るということです。
  そして、そんな“小さな驚き”が蓄積して行くと、営業者とユーザーの“関係”が変わって来ます。つまり、保険営業者の皆様が『何かと“小さな驚き”を提供してくれる大切な人(の一人)』になり得るからです。
  そもそも、これが“顧客との関係形成”なのではないでしょうか。“小さな驚き”も準備しないまま、やたらに“訪問”を掛けても、“相手に大切な人”と思われる関係は、形成できるはずもないからです。
     
   
    【07】 “お役立ち情報”の提供では“良好な関係”は作れない!
   
        その“小さな驚き”は、必ずしもユーザーに役立つものであることを要しません。ユーザーがイメージできるほどの“身近さ”は不可欠ですが、役に立つかどうかは別問題なのです。
  “情報発信”の重要性を強調する時、従来しばしば“お役立ち情報の提供”と混同されることが少なくありませんでした。しかし、“お役立ち情報”の提供は、どちらかと言うと“恩を売る”活動に近く、そのためかえって“恩を売られることの警戒心”を呼び覚ましてしまうため、財布やネクタイをプレゼントするときと同様、出費程の“成果”は、得にくいものではないかと感じています。
  しかし、“小さな驚き”の提供を基礎に置く“情報発信”は、狙いも成果も違うのです。どう違うのでしょうか。
     
   
    【08】 キーとなり得るのは“小さな驚き”
   
        “小さな驚き”に興味を持ったユーザーは、保険営業者の皆様を“驚きの配達人”と見ます。これは“話を聞くべき人”あるいは“話を聞いても損はない人”のポジションです。そして、もし、保険営業者の皆様が“保険の内容”に関しても、“小さな驚き”を創造しながら話す姿勢を持つなら、それはもはや“話を聞いておかなければならない人”に位置付けられる可能性が高いのです。
  つまり、保険とは関係がなくてもユーザーには身近な内容での“小さな”、こう言ってよければ“知的な驚き情報”と、“保険の内容の中に小さな驚きを発見させてくれるトーク”が、“保険ニーズの不毛地帯”に、新しい息吹を吹き込み得ると申し上げたく思います。
     
   
    【09】 話を聞かせるポジションを作ろう!
   
        この“小さな驚き”と“驚き発見トーク”は、【気付きリードマーケティングの会】の活動の基本理念ですが、改めて今、もう一度この“理念”と“実践手法”のご紹介の必要性を痛感しているところです。
  それは、すでに申しました通り、無目的とも言える活動で“関係を形成しよう”とする試みが、保険ユーザーから“疎まれ”る危険が増えているとともに、逆に、消極的過ぎる“保険営業姿勢”が、『やっぱり保険など必要ないのではないか』という“空気”を、世の中にまき散らし始めたように感じるからです。
  今、“小さな驚き”提供から始め、“話を聞いてもらえるポジション”を形成することは、当面の成果に限らず、今後の“保険営業の進む道”をも、大きく左右する要因になって来てはいないでしょうか。
       
       
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