保険営業者のためのマーケティング&コンサルティング、ヒント集
 
 
 
 
 
 
 
 
 

保険営業者のための小さなヒント集

株式会社エフ・ビー・サイブ研究所
             
【Vol.027】顧客開拓:間違ってはいけない個人向け“話題作り”の基本視点!(1/2)
             

  顧客との“関係形成”、つまり“保険提案の機会創造”を目的にするなら、保険の話やリスクやライフプランをそのまま語るのではなく、“事例にして語る”と効果が大きいと、しばしば申し上げてきました。
  保険やリスクの内容を語ると“一般論”になってしまってピンと来ない反面、他者事例だと、自分ごとを連想し易く、その分“わかりやすい”からです。しかし、その“事例”にも、忘れてはならない“肝心な部分”があるのです。 


             
   
    【01】 事例の肝心な部分?
   
        いきなり変な話に聞こえるかも知れませんが、肝心な部分をクリアーした事例とは、“誰かがこんな得をした”という話ではありません。つまり“誰かの損得を語る”事例は、他者事例でも効果は薄いのです。また、“誰かがこんな保険に入りました”という事実を公表しても、同様に、効果的な“事例”にはならないでしょう。
  昨今のような情勢で、“話題”を形成して関係を膨らませるには、“損得警告”でも“内容紹介”でもない“一つの視点”が必要なのです。ただ、それがどんな“視点”なのかを考える前に、“昨今の情勢”の特徴を、簡単に復習しておきましょう。それが一番の“近道”だからです。
       
   
    【02】 昨今の情勢とは?
   
        さて“昨今の情勢”とは、一口に言うなら、先行き不安、あるいは先行き不透明という言葉で表されると思います。先行きが見えないのは、いつの時代でも同じですが、『今のままではダメだ』という空気が根底にある分、昭和の時代とは大きく違うのです。
  昭和の時代には、先行きは見えなくても『路線(流れ)に乗っていれば大丈夫』という安心感がありました。流れからはずれるのは怖くても、無茶さえしなければ『何とかなるだろう』と思えたということです。
  もちろん、一部の人は、流れの一歩先、あるいは半歩先を行って、大成功をおさめたかも知れません。しかし、今は“そんな風じゃない!”という表現がピッタリしてしまうのです。
       
   
    【03】 “路線”も“流れ”も見えなくなった!
   
        現在には“安心して乗れる”路線や流れは見当たりません。それどころか、はっきりとした“流れ”すら見えず、すべてが混沌としているかのようです。繰り返しになりますが、将来は見えないものであり、現実は渾沌としているのが普通ですが、それが“ことさらに不安を増長している”のが現代の情勢の特徴だと言えるのでしょう。
  老後の年金はあるのでしょうか、ないのでしょうか。個人生活や企業活動に十分な電力は、今後確保されるのでしょうか、されないのでしょうか。地球温暖化の問題は忘れてよいのでしょうか、またやって来るのでしょうか。そもそも、今後どう生きたらよいのでしょうか、それとも、どう生きようが絶望的なのでしょうか。
       
   
    【04】 “成功事例”が憎らしい?
   
        そうした“状況”からいかに脱却するかについては、別の機会に譲るとして、そうした“状況”では、私たちの多くは、あるものを嫌うようになります。それは“成功事例”です。
  ついこの間まで、喜んで聞かれた成功事例が、突然『そんなの絵にかいた餅だ』『きれいごとを並べるな』『嘘をつくな』『でっちあげだ』などと罵倒される光景を見ないでしょうか。先行きの不透明さに“行き詰まり感”が加わると、悲惨な光景以外はすべて“作り話”に見えてしまう傾向があるのです。そのため、失敗談や悲惨な話が流通し、世の中の感覚は必要以上に“ネガティブ”なものになって行きます。“負の連鎖反応”というものです。
       
   
    【05】 事実を淡々と語られても…
   
        そのため“保険で成功した人の話”が、時として『そんなの絵にかいた餅だ』『きれいごとを並べるな』『嘘をつくな』『でっちあげだ』などという逆風を招くのかも知れません。成功者の話を聞いても“自分が成功する”イメージに、自分の気分が雰囲気として至らないのです。
  “保険の内容”のような“事実情報”でも同様です。事実を知っても『それがどうした』『だからどうしろと言うのか』と、罵倒しないまでも叫びたくなるのが現在の情勢なのかも知れません。では、どうすればよいか。実は、“あるもの”に視点を向ければ、閉塞感に満ちた現状から ある程度抜け出すことが可能になります。
       
   
    【06】 ポイントは“なぜ”を問うて“意志”を説くこと!
   
        その“あるもの”とは、難しく言えばキリがありませんが、簡単に言うなら『“なぜ”を問う』ことなのです。Aさんは、個人契約で終身生命保険に入り、受取人を妻に指定しました。『“なぜ”でしょう』か。Bさんは、貯金を取り崩し、一時払いの“高度医療保障付き医療保険”を契約しました。『“なぜ”なのでしょう』か。
  Cさんは、向こう10年間だけを保障する定期生命保険を契約しました。『“なぜ”なのでしょう』か、と、そんな“問いかけ”ストーリーを始めるということです。もちろん、その“なぜ”の解説にも、それが“得だったから”などとは言いません。あくまで、Aさん、Bさん、Cさんが契約に至った“意志”を問題にするのです。
       
   
    【07】 たとえば…
   
        たとえば『Aさんは、自分の老後には、3つの心配があると考えました。1つは超高齢になった親の介護、2つは働けなくなるかも知れない自分自身、3つは自分が他界した後に残される妻です。そこで、お金の余裕がなくなった時には解約をして一時金を得、そうでない時には生涯死亡保障を維持できる保険を選んだのです』とするわけです。
  それは有利か不利かは分りません。しかし“Aさんの意志”は明確にくみ取れるでしょう。それが大事なのです。つまり、保険を活用した顧客事例では、“何が正しいか”“何が得か”“何が選ぶべき道か”ではなく、事例の主人公の“意志”を語る必要があるし、そうしなければ効果はないのです。
       
   
    【08】 考えをまとめて実践ポイントを整理する!
   
        もちろんそれは、『これは個人の感想です』と注釈をつける、化粧品や薬剤のCM趣旨と同じものですが、“責任逃れ”だと捉えてしまうと、本質を見失ってしまう“微妙なもの”でもあるのです。もちろんCMは、誇大広告の嫌疑をかけられないように注釈をつけているのでしょうが、そんな注釈をつけてまで、あえてその種のCMを辞めないのには、確かな理由があるのです。
  次回は、そんな理由の解説とともに、“意志表明話法”の重要点を実践的に整理することといたしましょう。
       
       
      ヒント集一覧へ
             
           
 
     
     
Copyright(C) CIBE Editorial Institute, Ltd. All Rights Reserved.